2022年6月に、2016年から加入していた個人年金保険を解約しました。
契約自体は5年11ヶ月ですが、払い込んだ保険料は72ヶ月分、まる6年契約していたことになります。
ここで改めて、個人年金保険という商品のメリットとデメリットを振り返っておきたいと思います。
なお、個人年金保険といっても色々なタイプの保険があります。
ここでは、私の契約していたソニー生命の変額個人年金保険について、私個人の感じたメリットとデメリットの振り返りとなる点をあらかじめご了承ください。
変額個人年金保険のメリット
一般的な変額個人年金保険のメリット
一般的な変額個人年金保険のメリットとしては、下記のようなものがあげられると思います。
・定期預金や普通預金よりも大きなリターンを見込める
・実態は投資信託だが、一般生命保険料控除の対象になる
・死亡給付金や、高度障害になった後の保険料免除などの生命保険としての機能もある
投資初心者や浪費家向けのメリット
そのほかに、浪費家でまとまった貯金ができず、30代になっても30万円以上の残高をつくれなかった私の感じたメリットとしては下記がありました。
・毎月保険料を支払うことで貯金の習慣が身につく
・解約の心理的ハードルが高いため、長期積立運用がしやすい
・資金拘束力が高いため、まとまった貯蓄をつくることができる
・投資商品の値動きに慣れることができる
・高い運用成績を誇るファンドに投資することができる
・老後資金を形成しているという心理的安心感を持つことができる
・iDeCoよりも簡単に開始できた
貯蓄の習慣が身につく・まとまった貯蓄をつくることができる
お金があればあるだけ使ってしまう、そんな浪費家の私としては、自分の手の届かない場所に資金を積み立てていくのは、資産形成としては非常に有効な手段でした。
運用成績があまり良くない時にも、既払込済保険料の金額を確認すると「こんなに貯金することができた」と自信を持つことができました。
高い運用成績を誇るファンドに投資することができる
また、投資初心者だった私には、高い運用成績を誇っているファンドに投資できることも大きなメリットでした。
いくら手の届かないところに資金を積み立てるといっても、定期預金のように資産の育たない場所に置いておくのでは、老後資金としては心もとない限りです。この変額個人年金の場合、高い運用成績を出し続けているファンドが選択肢に入るため、将来的には掛金よりも大きなリターンを見込むことができ、安心してほったらかしておくことができました。
また、iDeCoを始めるにあたっては証券口座を開くだけでなく、証券会社へiDeCo開始の申込みのほか、派遣会社へiDeCo加入にあたっての手続きを依頼する必要がありました。いずれも書面でのやり取りとなるため、日数がかかり面倒でした。
その点、変額個人年金保険の場合は、FPさんに加入意思を表明した後は、8つある選択肢からどの商品に毎月の掛け金の何%を拠出するのか、その場で会話しながらすぐに手続きをしてもらうことができ、非常に簡単でした。帰宅後、申込用紙に判を押して投函して、それで終わり。半日で終了です。
また、iDeCoや積立NISAの場合は、どの商品に毎月いくら拠出していくのかを自分で考えて決めなくてはなりません。2018年当時、SBI証券のiDeCoのラインナップには130ほどの商品があり、送られてきた分厚いリストに目を通すことも一苦労でした。
現在は金融庁の指導のおかげでiDeCoで運用できる商品数はもっと絞られているはずですが、だとしても、世界株式の中からどのファンドに投資するのが良いか、いくつもある選択肢から自分で決めるのは、投資初心者には大きなプレッシャーでした。
それが、ソニー生命の変額個人年金の場合は、8つの中から選ぶだけ。株式にしぼれば、日本株2種類、世界株2種類の商品から選択するだけです。これは本当に、投資を始める第一歩としては非常に良い一歩だったと振り返っても思います。
投資商品の値動きに慣れることができる
保険会社のウェブサイトから、毎月の運用成績を確認することができるので、大きく伸びる月もあれば、その反対に大きな損失をだしている月もあることがわかるようになります。
これが証券会社の口座であれば、損失をこれ以上拡大したくないという思いからいわゆる狼狽売りや、その反対に、いったん大きな利益を確保しようと約定して買い直し、手数料を無駄に払ったり高値掴みをしてしまうといった判断ミスをしてしまうかもしれません。
対して個人年金保険の場合、解約したら再契約するのは面倒ですし、何より商品購入時の説明通り「老後まで継続して積み立てていくもの」という頭が働くため、見なかったふりをしてそっと画面を閉じることができます。そうしてまた数ヶ月後に見てみたら含み益が大きくなっていたりと、長期運用がしやすく、自然と投資商品の値動きに慣れていくことができます。
保険商品を購入しているという謎の安心感のもとで、投資経験を積むことができるのは大きなメリットだと思います。
変額個人年金保険のデメリット
続いてデメリットを振り返りたいと思います。
変額個人年金保険のデメリット
・元本割れのリスクがある
・手数料が割高
・生命保険を別途かけている場合、メリットは大きくない
・数年で解約すると、解約ペナルティがある?
このあたりでしょうか。
元本割れのリスクがある
個人年金保険として受け取るタイミングがコロナショックやリーマンショックのような状況だった場合、受け取る年金額が減少する可能性があります。
また、保険そのものを解約する場合の解約返戻金も、含み損が出てしまう可能性があります。
どれだけ運用成績の高いファンドだろうと、相場が下がる時はやはり運用成績も下がります。逆に言えば、下がり相場は安く買えるチャンスですので、そういった時に積立を継続しておけば、相場が上り調子になった時に含み益が伸びていきます。また次の下がり相場が来たときに、前回の下り相場と同程度の下落であれば、大きな含み損が出ることもありませんから、淡々と積立投資をしていくことが大切です。
15年〜の長期投資をすれば負けることはほぼない、というのはそういうことですね。
相場が下がり含み損の出ているタイミングでは解約せず、含み益の出ているタイミングで解約すれば、負けることはありません。ただし、相場がどうなるかは誰にも予想がつかない。
そう考えると、個人年金として受け取ることは考えず、含み益の大きく出ているタイミングで解約して、別の投資商品等に掛け替えるのが正解の運用商品なのかな、ということは申込当初から頭の片隅で考えていました。
手数料が割高
実態は投資信託ですが、運用しているのが保険会社ですので、個人で証券会社で直接投資信託を買うよりも、当然手数料は割高となります。
と言っても、投資信託のように信託報酬手数料が何%等と開示されている訳ではないので、手数料が割高であること自体がわかりにくい点が問題かもしれません。
私自身も、確定拠出年金や積立NISAの運用成績と比較することで、ようやく個人年金保険の含み益があまり高いパーセンテージではないことに気がつきました。運用利回り7%〜10%と出ている月がほとんどで、配当金もなく複利運用しているのなら、もっと含み益が出ていて良いはずでは?と感じました。
個人年金保険より少ない掛け金と少ない運用期間の積立NISAで、同程度の割合の含み益が出ているということは、自分で投資信託を購入した方がもっと含み益が出るのでは……?
生命保険を他にかけている場合、メリットが減る
死亡給付金があるので、万一の場合も掛け金がムダになることはありませんが、生命保険を別に掛けている場合、個人年金保険の生命保険としての機能にはあまりメリットがありません。
生命保険料控除も、他に掛けている保険の種類や賭け金によっては使えない可能性もありますので、これも大きなメリットとは言い難い。
解約ペナルティがかかる?
申込後1〜2年で解約すると、解約手数料がかかる、というような趣旨のことを、申込時にFPさんから聞いた覚えがあります。
当時は、解約するとしても50代かなと考えていたこともあって、詳しく聞いたりメモを残しておくことはしなかったので、ペナルティがなくなるまでに正確にどれくらいの年月が必要なのかは不明なのですが……
ネットで検索すると、10年以内の解約にはペナルティがかかるという記事をいくつか散見しましたが、少なくとも、6年未満で解約した私の場合、表面上は解約手数料はかけられていませんでした。
ウェブ上で確認できる解約返戻金の金額がほぼ満額、返ってきた形となります。(とはいえ、当日の解約返戻金額を自身で確認することはできないのですが……ペナルティがもしもかけられていたとしても、5千円未満、0.2%未満でした。)

個人的にはメリットの方が大きかった
解約してしまいましたが、個人的には、デメリットよりもメリットの方が大きな商品だったなと思います。
浪費家さんや、投資初心者の方の入り口として、ソニー生命の変額個人年金保険(の世界株式)は良い投資商品だという考えは、今も変わっていません。
解約したからには、この資金をもとにもっと良い投資成績を出していかないと!というモチベーションにもつながっています。